サラブレッドの血統を「父の父そのまた父」というふうに遡っていくと、必ずダーレーアラビアン (Darley Arabian) ・バイアリーターク (Byerley Turk) ・ゴドルフィンアラビアン (Godolphin Arabian)の、いずれかの種牡馬に辿り着くと言われています。
三大始祖(さんだいしそ)とはこの3頭の種牡馬のことをいいます。三大父祖(さんだいふそ)と呼ぶこともあります。
ダーレーアラビアン(1700年頃-1730年)
ダーレーアラビアンはオスマン=トルコのアレッポ(現在のシリア北西部の都市)に駐在していたイギリス領事、トーマス・ダーレーがアラブの族長から買い取って、本国に送ったといわれています。この父系はダービーアラビアンから数えて5代目、エクリプスによって活気づきました。このためエクリプス系とも呼ばれ、現在、約90パーセント以上もの占有率を誇る大父系に発展しています。
日本では、サンデーサイレンスをはじめ、ディープインパクト、オルフェーヴル、ナリタブライアンが有名です。
バイアリーターク(1679年頃-1705年)
バイアリータークは種牡馬としては優秀でなく、すぐに消えてしまいそうな父系でした。しかし、バイアリータークから数えて5代目、ヘロドの活躍によって消滅を免れました。
ヘロドはエクリプスと同じカンバーランド公の生産馬で、1758年に生まれ、22歳まで生きました。前肢が弱く、ほかにも故障があって特記すべき競走成績はありません。
しかし種牡馬となったヘロドは、一時期、エクリプスと並び称されるほどの立派な成績をあげました。
日本の競走馬では、シンボリルドルフ、トウカイテイオー、メジロマックイーンが有名です。
ゴドルフィンアラビアン(1724年-1753年)
この父系は父祖のゴドルフィンアラビアンから数えて3代目、1748年に生まれたマッチェムによって大きく発展しました。アメリカでスペンドスリフトが父系を大きく発展させリーディングサイヤーとなり、仔のヘイスティング(ベルモントS)も、同じくリーディングサイヤーとなりました。その仔のフェアプレイから出たのが、アメリカの歴史的名馬マンノウォーです。
残念ながら日本の競走馬ではほとんど見られませんが、アメリカやイギリスの活躍馬のおかげで血を繋いでいるようです。
ちなみにダーレーアラビアン系(エクリプス系)の発展の足がかりをつくったエクリプスの母の父が、このゴドルフィンアラビアンになります。
日本の競走馬では、1976年に日本ダービーを勝ったクライムカイザーが有名です。