競馬を語る上で必要不可欠な血統ですが、そもそも血統とはいったいなんなのか。競馬にどう関係あるのか。
このページではそんな疑問に答えていこうと思います。
血統で先祖がわかる
ペットショップなどで犬や猫に「血統証付き」という言葉を見たり聞いたりすることがあると思いますが、血統とは「父、母、祖父、祖母は誰か?」という生まれのルーツを明確に定義することを意味します。
競馬の起源は16世紀頃、イギリスで貴族の遊びの中から発展して言ったといわれていますが、血統の重要性が意識され始めたのは、17世紀に入ってから。より早い馬を作り出す手段として、早くて優秀な馬同士を掛け合わせればより優秀な馬が産まれるのではないか?という視点からです。
当初は産まれてくる馬に関してそれほど計画的かつ綿密に計算されていたわけではないようですが、年月を重ねるうちに「競馬はブラッドスポーツ」と言われるぐらい、血統が馬の良し悪しを決める重要なファクターとなってきています。
競馬はブラッドスポーツ
遺伝学が発達する以前から「近親繁殖」というのは行われていたようで、特定の優秀な先祖の血を重ね合わせ、その先祖に近い人物をよみがえらせることができると考えられていたようです。
これを現在の遺伝学では「優性遺伝子の固定化」と言われていますが、この「近親繁殖」は劣勢遺伝子の固定化の危険性もあります。しかし、昔の人々はそんな弊害には目をつむり天才や秀才を得ようとしていたようです。
これは人間だけではなく競馬の世界でもそうでした。
イギリスを中心とした財力のある貴族達はより早くて強い馬を作り出すために「近親繁殖」を繰り返してきたといわれています。競馬は基本的に地位や名誉、財力を見せ付けるための手段にしか過ぎず、そのためならいかなる金銭的負担も惜しまなかったようです。
強い近親繁殖で産まれる失敗作は、当時はただ処分すればいいだけの話であったので、ごくわずかな天才馬、秀才馬だけが種牡馬として残されてきた歴史があります。
このようなことから競走馬は産業動物あるいは経済動物と呼ばれ、すなわち「お金を稼ぐために人為的に作り上げられた生き物」ということになります。
なんだか少し残酷にも思えてしまいますが、華やかに見える競馬の世界はこういった側面があることを知っておきましょう。
血統に注目する理由
競馬をやっていると血統がいい、短距離血統、長距離血統、良血馬という言葉を聞くことがあると思います。
競馬新聞には父馬、母馬、母の父馬が必ず記載されていてるので、競馬をする人にとってとても重要な予想素材といえるでしょう。
血統はその競走馬の各先祖のレース成績や繁殖成績、馬格、性格など競走馬に必要な情報が集積したものです。
人でも子どもの顔が父親そっくりだったり性格が母親似だなと感じたり、親父の髪はフサフサなのに俺がハゲているのは母方の祖父がハゲているからだ!と嘆く人がいたり、また家系が代々医者だったりするとその家の子どもも将来は医者になるんだろうな…と思ったりしますよね。
競走馬も同様に性格や能力や体型が親から子へ、そのまた子へと遺伝することがあるので、
「父馬が短距離レースで好成績だったからその子どもも短距離が得意に違いない」
「母の父馬はスタミナがあったから長距離レースなら好走するかも」
「この父馬の産駒は大器晩成型が多いから4歳以降の走りに注目しよう」
といった予想できるのです。
これが血統が注目される理由です。
先祖の情報はとても重要な予想素材の一つとなりますので、競馬予想で血統に注目することは自然なことなのです。
血統がいい
血統がいいとは、過去の実績がある種牡馬と血統的に優れた牝馬との間に生まれた産駒のことを言います。
血統的に優れた牝馬というのは、母馬自身が一流の競走馬だったり、その牝系から優秀な競走馬が出ているということです。
馬の世界では牝馬は多くの種牡馬を相手に繁殖させられますが、父馬が全く違うのに名馬が多く産まれる系統というのは、いかに母系が大切であるかということがわかります。
血統には父系と牝系がある
父方の血統を父系(ふけい)、母方の血統を牝系(ひんけい)といいます。
競馬で血統を楽しむなら父(サイヤー)とその父系、母、母の父(ブルードメア・サイヤー)、母の母(祖母)、その母(3代母)ぐらいまでの14頭を調べるのが一般的です。どんなに詳しくても5代で十分です。