競馬界や時には芸能界でも「サラブレッド」という言葉を耳にしますが、その意味をしっかり理解しておきましょう。
最近は一般用語としても使われおり、毛なみのよいことを、彼はサラブレッドのようだ、などという。また、サラブレッドを省略するときは「サラ」という。
サラブレッドの意味
サラブレッドとは馬の品種のひとつで、thororgh(完全に)bred(改良されたもの)という意味です。
17世紀のイギリスでは競馬が貴族達の間で権力を見せ付ける手段となっていました。
17世紀にイギリスの在来牝馬に東洋から輸入したアラブ種の牡馬を交配したのがルーツと言われており、早くて強い馬を選んでは優秀な牝馬と掛け合わせていい馬をつくりあげてきました。
このような改良は現在も世界中で行われており、競馬がブラッド・スポーツ(血統のスポーツ)と言われる所以です。しかし、血統がいいからレースでいい成績を残せるという保証はなく、血統はその馬の個性を理解する一つの手段としておきましょう。
1791年以降、サラブレッドには厳格な血統登録が行われており、1頭1頭に必ず血統書が存在しています。
基本的に両親がサラブレッドでなければ子もサラブレッドとは認められませんが、連続8代にわたってサラブレッドが交配された馬であれば審査を経てサラブレッドと認められる場合があります。
現在の全てのサラブレッドは、父系(サイアーライン)を遡るとゴドルフィンアラビアン、バイアリーターク、ダーレーアラビアンのいずれかにたどりつく。これらを「三大始祖」という。ただしサラブレッドは前述のように品種改良によって生み出された品種であり、三大始祖はいずれもサラブレッドではない。牝系(母系)も1号族・2号族・3号族…とファミリーナンバーで分類されている。
アラブ種の血が混じった馬は、アラブ血量が25%未満ならば「サラブレッド系」、25%以上ならば「アングロアラブ」となる。
近親繁殖
サラブレッドの進化の歴史は、近親繁殖の歴史とも言えます。近親繁殖とは、近親関係にあたる馬どうしを配合することですが、人間の世界でいうなら、近い血縁関係にある者どうしの結婚ということになります。
サラブレッドにおける近親繁殖の狙いは天才や秀才の誕生を期待するためでした。
しかし、大昔のイギリスなどでは当初からそうした狙いがあったわけではなく、当時は種牡馬の数や牝馬の数もそれほど多くなかったので、優秀な種牡馬が出れば、その血に一斉に群がり、そこから優秀な競走馬が出ればまたその血に群がるということが繰り返され、結果として近親繁殖が増えていたようです。
近親繁殖の弊害
強い近親繁殖は精神的、肉体的な弊害をもたらすと言われていますが、血統面でもとっても深刻な状況をもたらしたようです。それは血統の閉塞状況、飽和状態という状態です。
強い近親繁殖の繰り返しが重ねられたり、ある特定の優秀な血統に片寄っていくと、ある時期から活力、生命力、遺伝力といったものが急に衰えてくるという傾向があらわれました。
このようなことから大昔のイギリスでは、これ以上の近親繁殖は危険と判断し、優秀な馬を求めて他国の馬へ目を向けていくことになりました。
この時期から競馬というものが世界的にも急速に発展していったとも言われています。
近親繁殖の頭打ち
優秀で強いサラブレット生産には、アメリカのようにAランクの種牡馬にはAランクの繁殖牝馬を掛け合わせることが昔から当然のように行われてきました。
確かに優秀な血統同士を掛け合わせることで、良質な血が出来上がっていきますが、良質な血はだけを探すとなると、近親でしか見当たらなくなるという現象も起こってきます。
実際にAランク同士を常に掛け合わせて行くと、どこかで能力の頭打ちが見え初めてくることも、サラブレット生産では多々ありました。その典型的例がサンデーサイレンスと対照的な存在だった「イージーゴーア」という馬です。
父も母もAランクの名門血統のイージーゴーアはアメリカはもちろん、世界中からAランクの繁殖牝馬を掛け合わせましたが、競走馬としていい成績をあげた馬は殆どなかったようです。
またイージーゴーアは種牡馬となって3年で死亡しています。関係者の中ではもっと長く生きればいい馬を出せたかも知れない・・・という声もあるようですが、一方でその短い生命も良血血統の寄せ集めの失敗作と言われたりもしています。